ネムノキ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ホーム


ネムノキはマメ科の植物です。果実がマメの形をしているので納得します。
ところが、花はマメ科とは思えない形をしています。このため、
ネムノキ亜科としてマメ科の中でも他の種類と区別されています。

　　　ネムノキの新緑（目覚めの遅いネムノキ）
ネムノキは春が来ても、なかなか新しい葉を出しません。
他の木々が新緑から深い緑に変わっていく頃になって、
やっと葉を広げてきます。
（２００５．５．１９撮影）
葉を出して一ヶ月ほどすると
つぼみを出してきます。
（２００５．６．１５撮影）

　　　ネムノキの花
ネムノキの花は花が集まったものです。
全体で一つの花のように見えます。
先で黄色く見えるのは花粉です。
一つの花を取り出して観察します。
花びらは糸状のものの基部にある白黄色のもので、
短くて先が５つに分かれています。
糸状のものは、先が赤くなっているのが雄しべで、
先には黄色い花粉が付いています。
先まで白いものが１本だけあり、
これが雌しべです。
ネムノキの雌しべだけを取り出してみると、
緑色にふくらんだ子房が右端に見えています。
花びらは黄緑色で目立ちません。
途中まではくっつき、先が５つに分かれています。
つぼみ
ネムノキの花は多数の花の集合体ですが、
その中心部には他の花とはやや異なったものがあります。
これが頂生花で、おしべは根元の部分でくっついています。
この花は、蜜を貯めており、蛾などを誘引します。

　　　ネムノキの果実
７月中旬以降、花が終わりになると、
豆型をした果実が生長してきます（豆果）。
よく見ると、多数の花は枯れてしまいますが、
左の頂生花が生長して果実になっているのがわかります。
８月の強い日差しを浴びて、果実が一気に大きくなります。


　　　ネムノキの葉
葉は鳥の羽の形です（羽状複葉）。
小羽片が偶数（左右同じ枚数）ですので、
偶数羽状複葉と呼ばれます。
小羽片も小さい裂片から出来ており、
さらに偶数の羽状複葉となっています。
このため、ネムノキの葉は２回偶数羽状複葉と呼ばれています。


　　　ネムノキの葉の運動（就眠運動）
昼間、葉は広がっていて、日光をたくさん受けています。
夕方になれば、葉は折りたたまれて、
しおれたようになります。

葉の付け根を見ると、太くなっているのがわかります。
この部分をさわると柔らかくて、ぶよぶよします。
葉を持って動かすと、自在に動きます。
葉を開閉させるために、この部分が
関節の役割を果たしていることがわかります。
さらに小羽片の付け根にも
やや太くなった部分があります。
ここを支点に、小羽片も開閉します。
さらに小さな裂片にも、
付け根にはややふくらんだ部分があり、
ここを支点に動いていることがわかります。